2008年12月27日

大恐慌 end of the year


 僕は焼肉屋でアルバイターとして日々勤務している。その焼肉屋というのがそれはもうとてつもなく生肉くさくて、なぜか退勤後には生肉よりも僕の手のほうが強生肉スメルを放っているほどに生肉くさい。今キーボードを乱打しているこの手も生肉くさい。

仮に今もし隣に浦安鉄筋家族のフグオがいたとすれば「キャプチュー」などというアン正気の沙汰めいた叫びとともに音速で僕の手はしゃぶり尽くされてしまい、手首から先を完膚なきまでにロスト、早くもブログ閉鎖を迎えしてしまうだろう。ここが浦安じゃなく大阪府吹田市で本当に運が良かった。


先日。そんな焼肉屋の可愛い可愛い後輩たち約7人ほどを人望の鬼、リスペクトオブザイヤーとの呼び声名高いこの僕が忘年会と称し彼らを遊びに連れて行った。別の言い方にコンバートすると"たかられた"とも言える。

バイト先において唯一普通自動車免許を取得している僕は「これが大人ってやつなんだぜ、お前らも18歳過ぎてんだから早く免許取って自分だけの相棒(愛車)を見つけな」と言わんばかりに颯爽と親の車(デミオ)で後輩たちの前に登場した。親の相棒は自分の相棒なのである。


忘年会と言っても後輩たちの中には未成年が数人いるため、アルコール的催しではなくボーリングやカラオケなどといった健全イベントなのだけれども、ティーンエイジャーならいざしらず思いっきりトゥウェンティーンエイジャーの僕にはハッキリ言って余りにも肉体的にキツイ。

明日は確実に仮死状態くらいには陥るな、僕、などと思いながら車を走らせること十数分。ボーリング施設の駐車場へピットインし、さあどっちから始めるよ後輩たち。ボーリング or 付近のカラオケ。どっちでも構わないぜ。

「カラオケから行こう!!」

誰よりも早くそう提案したのは紛れもなく僕。なぜならボーリングはめちゃしんどいからだ。二十代が十代とボーリングなどで戯れると過労死してしまう恐れもある。それくらいしんどい。誰が何と言おうとしんどい。

一同はボーリング場から少し離れたカラオケ店に赴き、そして僕は受け付けにて「フリータイムで」というジゴスパーク並みの究極呪文を詠唱することにより、今日という一日を乗り過ごし、あわよくばキングクリムゾン的に時を吹き飛ばそうと考えた。


(チュッチュッチュチュチュ!サマーパーティ!)


血迷った僕はハロプロミュージックなどを口ずさみつつ、絶叫しつつ、そんなこんなで僕の陰謀は輝かしいほどにサクセスの一途をたどり、まんまと「あらら、気が付いたらこんな時間。もうボーリングする時間ないね」を遂行したのである。これを孔明の生まれ変わりと言わず何と言えるだろうか。

楽しい時間は終わり!さ、帰ろ帰ろ。露骨にそういったテンションを醸し出しつつ後輩を引き連れてカラオケ店から退場。あまりにやる気が皆無すぎるという話だが、彼らはそれなりに楽しんでくれたようだった。


後輩たちを各々の自宅へ送り届けるべく、再びボーリング施設へと戻り駐車場の車に乗り込む。帰ったら風呂に入ってとっとと寝よう、寝る前にちょっとだけ動ナビをチェックしておこう、そんなことを考えながら車を発進させ、いざ駐車料金の回収を生業としているおじさんの元へ。

「はいありがとうございました、割引券出してくれるかな」

割引券。そんなものない。何だそれは。こちらは1円割引の紙切れすら持ち合わせてなどいない。それなのになぜこのおじさんは割引券を持っていることがグローバルスタンダードみたいな言い方をするんだ。

「ボーリング場の受け付けでもらったでしょ?割引券。それ出して」

あーなるほどね!そっち系ね!なるほどなるほど!もらってない。というかボーリングしてない。一投たりともプレイしてないし1ピンたりとも倒してないのに割引券をもらえるはずがない。まあ仕方ねえやな。

「え、割引券持ってないの?じゃあ定額払ってもらうことになるよ?」

今を何の時期だと思っていらっしゃる。年の暮れですぞ。せいぜい4時間の駐車料金、たかが知れる。そのくらいポーンと太っ腹に払うよ。エリート貧乏フリーターと言えどその程度の金ならある。いくらだ、臆せず言ってみるがいい。

「4200円だよ」

あのな、いい加減にしろマジで。今日び「おばちゃんコロッケ一つ」「はいよ、80万円ね」「んなアホなー!」じみたギャグなんてウケねーんだよ。こりゃ完全に大阪の大地が生み出した悪しき風土性だわ。

「4200円だね」

だいたいね、どこの世界に一時間1050円とかいう天文学的数値マネーをせしめとる駐車場があるというのか。あれだろ、420円なんだろ?それなら420万円っていうのがベターに決まってんのに、さてはアンタ新参か?緊張すんなって、まあ肩の力抜けよ。

「4200円」

僕は銀色の硬貨2枚と野口英世4人をサイフから取り出し、おじさんの手に渡した。「こっちも仕事だからね、ハハッ」と爽やかに笑うおじさんの顔は職人そのもので、いつか自分もこうなりたいものだな、とは特に思わなかった。


後輩たちの「ぼ、僕らも払いますよ!」に対し、「うるせえ!貧乏人は黙ってろ!」と一喝したあの時の僕は世界でも五本の指に入るほど最高にカッコ良くて、帰りの際サイフの中には247円しか残っていなくて最高に惨めで。

後輩たち全員を送ったのち、持ち前の無駄ポジティブスピリッツを遺憾なく発揮した僕は「(良かった…超絶ギリギリでジャンプ買えるわい)」などと思いながら、ファミリーマートに立ち寄りレジにて週刊少年ジャンプを差し出した。


「250円です」


合併号だった。




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posted by 和 at 04:07| Comment(6) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。

いきなりで厚かましいですが、相互リンクよろしいですか?
Posted by ほさかけ at 2008年12月27日 23:23
ワロタwwww4200円は…きつすぎますね…。どこの高級住宅街かと。

リアルにコロッケネタは今日話したから困るw
Posted by なるたむ at 2008年12月28日 00:07
最高のオチでしたwwww
Posted by taka-to at 2008年12月28日 00:21
>ほさかけさん

初めましてですー。
今ちょうど合作メンバーの音声を聴いていたところだったのでむちゃくちゃ驚きました。
相変わらずほさかけさん高クオリティでしたね。

相互リンクは涙が溢れ果てるほど大歓迎ですよー。
お先にこちらで追加させていただきまする。
Posted by 和 at 2008年12月28日 04:38
>なるたむさん

仮に一ヶ月ほど放置しておいたら75万6千円とかいう自殺ものの金銭を請求されることになりますからね…世の中はクレイジーだぜ。

でも実際にコロッケネタをやると「80万円ね」「はい80万円」って普通にスルー、普通に80円を出すんです。大阪はクレイジーだぜ。
Posted by 和 at 2008年12月28日 04:45
>taka-toさん

許せないですよ合併号は!ほんと!
仕方ないからビッグカツ買って帰ったんですけどね。
Posted by 和 at 2008年12月28日 04:47
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